MTG News

2021/04
リリースグループ会社
MTG Ventures
沖縄科学技術大学院大学(OIST)の
スタートアップ・アクセラレーター・プログラムから生まれた
スタートアップ「EFポリマー」へ出資
株式会社MTG(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:松下剛)は、コーポレートベンチャーキャピタル株式会社MTG Ventures(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:藤田豪)より、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のスタートアップ・アクセラレーター・プログラムから生まれた「EF Polymer株式会社(以下EFポリマー)」へ2021年3月末に出資をしたことをお知らせいたします。なお、今回の「EFポリマー」における資金調達は、2018年から始まったOISTスタートアップ・アクセラレーター・プログラムから生まれたスタートアップとしては初めての事例となります。
EF ポリマーの創立者兼CEOのナラヤン・ガルジャール氏 コメント
今回の資金調達は、当社の事業拡大と技術力の向上を実現するために重要な役割を担います。まずは生産能力の拡大や雇用、そして販売の拡大に活用したいと考えます。EFポリマーは有機農業とサーキュラーエコノミーの促進に取り組んでいますが、我々が持つ技術を今後より広く普及させることで、SDGsの目標達成にも大きく貢献できると考えています。また、OISTの事業開発セクションは投資家とのマッチングや、契約における法的なガイダンスなどあらゆる段階でのサポートを行ってくれました。今回の資金調達において、なくてはならない存在です。
株式会社MTG Ventures代表取締役の藤田豪氏 コメント
EFポリマーはインド出身の若くて優秀な経営チーム。干ばつが深刻なインド・ラジャスタン州農家の水不足の解消を目指して立ち上がり、100%天然由来の吸水ポリマーを開発。サーキュラーエコノミーの世界観の実現を目指す技術力と志の高いスタートアップとしてOISTとともに支援していきます。また、MTG Venturesとしては、沖縄県での投資は琉球アスティーダに続く2社目。沖縄県におけるスタートアップ支援の活動を継続するとともに、今後もOIST発スタートアップに注目していきます。
■ EFポリマーについて
EFポリマーは2019年度にOISTのスタートアップ・アクセラレーター・プログラムを通じて、当時22歳のインド人起業家ナラヤン・ガルジャール氏により設立され、野菜や果物の不可食部分の残渣をアップサイクルした環境に優しい有機ポリマーの開発を行っています。同社のミッションは、生分解性廃棄物(生ゴミ)をアップサイクルし、水不足等の農業に関わるグローバルな環境問題を解決する、新興国でも利用しやすい低コストで持続可能な農業資材に変換することです。

今日、世界中で水不足や、増え続ける生ゴミ処分の問題が深刻化しています。EFポリマーは、この生ゴミに着目し、これを資源と見立てることにより、有機ポリマー製品を開発しました。このポリマーは、柑橘系の果物やバナナの皮、サトウキビのバガスなどの有機性廃棄物から開発されています。自重の80~100倍の水を保持することができ、土壌に投入すると、土壌の保水力と肥料保持力が高まり、結果、約40%の節水と約20%の肥料削減が期待できます。また、このポリマーは有機物100%のため、約6か月で土の中で完全生分解されます。

現在おむつ等に使われ一般的に流通しているポリマーは、アクリル系ポリマー等の化学合成されたものが多く、これらは生分解せず土壌を汚染することや、土壌成分と化学反応し吸水力を失うことから農業利用には適しておらず、同社の自然由来かつ安定した分子で構成されたポリマーは非常に優位となると考えられています。
EFポリマーの有機ポリマー
農作物の残渣などを特殊加工して作られたポリマー。土壌の保水性を増加し、少ない水でより多くの作物を灌漑することにつなげる。
現在、国内では沖縄県と兵庫県の淡路島にて農地でのパイロットテストを実施しています。また、インドではタタ・トラストとビル&ミリンダ・ゲイツ財団の支援を受けたソーシャルアルファ プロジェクトのサポートを受けながら、ウッタル・プラデーシュ州等5州の10地区200エーカー以上で500人以上の農家の協力の下、パイロットテストを実施しています。ポリマー製品は2020年10月からインド国内で販売を開始し、過去5ヶ月で1,700kgを販売しました。
■ 沖縄科学技術大学院大学(OIST)によるスタートアップ支援に向けた取り組み
沖縄においてイノベーションを育み、経済成長を加速させることを目指すOISTでは、技術開発イノベーションセンター 事業開発セクションがインキュベーション施設の運営やスタートアップの支援を行っています。

スタートアップ・アクセラレーター・プログラムでは海外からの起業家を受け入れるケースが多く、ビジネス面でのメンタリングやアドバイス、産業や企業とのマッチングのみならず、海外起業家が日本で起業するにあたってハードルになりやすい、税務、知財手続きやビザ取得など多岐に渡ってサポートを行います。

OISTの事業開発セクションでコーディネーターを務める吉川弘志氏は「今回の資金調達にあたっては、2019年にEFポリマーがプログラムに参加した当初から長い時間をかけて投資家や企業とのマッチングを進めてきました。プレゼンのブラッシュアップ、展示会での事業説明などへの参加支援などを行い、投資家に興味を示していただけるよう進めてきました。言語と文化の違いから、当初はなかなかEF Polymer社の魅力を伝えられず、相当な苦労がありました。ただ、EFポリマーのメンバーが、諦めずに前向きに事業内容を磨き上げながら、チャレンジし続けたことが今回の成果につながったと思っています」と語ります。
OISTのインキュベーション施設
2019年4月にオープンしたOISTのインキュベーション施設。シェアオフィスに加えドライラボ、ウェットラボなどを完備し、多目的な研究開発活動に対応している。また、スタートアップ企業のみならずOISTとのコラボレーションを希望する既存の企業にも開放を行っている。
また、「日本はスタートアップの市場としてはまだ過渡期であり、残念ながら創業期の外国人起業家のスタートアップが、サポートなしですぐに単独で活躍できる土壌が整っていない状況です。言語の壁をはじめ、必要な行政手続きや資金調達の面でも、外国人起業家の方がスムーズに事業を展開できる環境の整備が必要です。こうした中、OISTでは沖縄県の行政関係者の方々とも密に連携をし、今後沖縄県があらゆる起業家にとって魅力的な環境となるよう、積極的に環境整備や支援体制の拡充を行っています。その先には、OISTを軸としたディープテック・スタートアップのクラスター形成を目指して活動を進めています」と述べています。
■ 投資企業概要
法人名 : 株式会社MTG Ventures
所在地 : 名古屋市中区錦2-8-24 オフィスオオモリ8階
設立  : 2018年10月1日
資本金 : 100百万円
代表  : 代表取締役 藤田 豪
事業内容: 投資業、投資事業有限責任組合の運用、教育事業、各種イベント企画及び運営
【本件へのお問い合わせ先】
www.mtg.gr.jp/feedback/

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